テーブルヤシ

それは、病に倒れて退院後、私が自宅療養をしていた頃です。近所の商店街へ100均に買い物に行った日の事でした。100均での買い物を終えると、隣の花屋で値段350円・高さ30㎝弱のテーブルヤシを見かけました。

私は内心「欲しいな」と思いながら、「また、枯らしたら可哀そうだしね…」と、観葉植物の育成経験を省みたのでした。
私はアジアンタムが好きでした。でも、何度か買って育ててみるものの、元来の「テキトー精神」が災いしてその都度枯らしていたのです。目に留まったテーブルヤシが「可愛いな」と気になりながら、私は自転車に乗って帰ろうとしました。
しかし、その時、花屋のお兄ちゃんが話し掛けて来たのです。「何か気に入ったの、ありますか?」と。私は「そのテーブルヤシがちょっと…」と、歯切れ悪く返しました。

満面の笑みの店員さんは、簡単に枯れないから大丈夫と話し続けました。私は長い闘病生活で人との会話に飢えてました。そして、「50円安くするよ!」の一声で、テーブルヤシを購入したのでした。

それから大きくなり始め、真冬の寒いべランダでかじかんだ手を摩りながら初めての鉢替えをした事。3年後、今年の春に初めての花をつけた日の事を思いました。そして、小さく深く、花は咲いてくれました。
テーブルヤシ
↑我が家のテーブルヤシ、命名「50円安」。

小さな花にこんな感動があるなんて、知りませんでした。気が付けば、このテーブルヤシも、私の家族なんだなと思い始めました。幼い頃、出口のない迷路の中で、「今度生まれ変わるなら、花か木になりたい」って思っていました。その思いは、少し履き違えていたことも知りました。

大切なものに巡り合えるという奇跡、それは些細な偶然から始まって、互いに成長して行ける過程そのものなのだと。あの日、テーブルヤシに出会えて本当に良かった。

== 追記 ==
テーブルヤシは2016年に不注意から枯らしちゃいました。orz
あの感動はなんだったんでしょう!?

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